台東の家

クライアントご夫妻が幼少期から慣れ親しみ大切に住み継いできた家でしたが、いよいよ老朽化が激しく建て替えたいということでご依頼を頂きました。

今回の建て替えにあたっての主な要望は、次の3点。

1.光あふれる明るい住まい

2.風通しがよく、見通しがきく住まい

3.家族が過ごす多様な場を持つ住まい

南北に細長い敷地に中庭を設け、それを取り巻くように開放感のある階段と吹き抜け、必要な諸室を配置しました。建具によって仕切った室は1階の寝室・トイレ・脱衣/洗濯室のみで、玄関から2階上のリビング、小屋裏収納まで一つの空間としてゆるやかに繋げ、ハイサイドライトとライトシェルフを設けて冬でも自然光で明るい場としました。
フローリングはご夫妻がチョイスされたアカシア。ナチュラルな空間の中にも独特な木柄がアクセントになっています。

また準耐火木造で延床面積を100㎡未満に抑えるために、あえて天井高の低い床下収納や小屋裏収納を組み合わせスキップフロアの構成とし、上下や対角線への視線の連続性と奥行き感を確保しています。

大きなワンルーム空間であり、天井高が非常に高い部分もあることから、コンフォート24システムを導入。一般的な家庭用エアコンとDCファンによる全館空調のこのシステム+高気密・高断熱を組み合わせることで住まい全体が快適な空間となっています。

 

周辺は複合化・商業化が進む地域ですが、昔ながらの職住一体となった建物や一戸建ての住宅が密集し、近くに日本で二番目に古い商店街と言われる佐竹商店街もあり下町の雰囲気を残しています。そこで、左官壁で周辺に呼応させ、2階建ながら約8.5mの高さのあるシンプルながら伸びやかなファサードとしました。

また、古家には前庭と飾り井戸、木格子の門扉があり、風情ある佇まいが近隣はもちろん観光客の目に止まるような日本家屋でした。建物は新しくなってもその記憶を引き継ぐべく、中庭に飾り井戸を保存しアオダモを新たにシンボルツリーとして配置。門扉はアプローチの奥に、素材を変えた格子戸に形を変えて引き継がれています。


建築概要

台東の家
竣工年:2019年 
所在地:東京都台東区
用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供1人
構造:木造在来工法
規模:地上2階建
敷地面積:89.04㎡
建築面積:53.54㎡
延床面積:99.45㎡
地域地区:商業地域、防火地域
その他:空調設備にコンフォート24を採用

 

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